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時々ダークファンタジーとかSF系の漫画が無性に読みたくなる時がある。 土日に何気なく購入した『イムリ』はそんな自分の欲求を余すとこなく満たしてくれる極上のダークファンタジーSF漫画だった。
おかげで今週は寝不足だし続きが気になってしょうがない。 今日はSFとかファンタジー好きに『イムリ』を紹介したい。 きっとあなたも寝不足になります。
『イムリ』とは
三宅乱丈さんによるSF✕ファンタジー作品で2006年から連載されています。未だ連載中。 2009年に第13回文化庁芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞している作品。
ちょっと前に話題になった「これも学習漫画だ100!」という日本財団が100作品選んだ学習漫画にも選出されている。【2 生命と世界】というカテゴリーですね。推薦者のコメントを少し引用すると
この作品は、最初がすこしとっつきにくい。SFだからだ。でも、最初の設定さえ頭に入ってしまえば大丈夫。あとはもう、夢中で読んでいけるはずだ。
これは後述するが僕も同じ感想を持った。最初の設定さえ頭に入れば夢中になって読める。おかげで今週は寝不足なんだ…
作者:三宅乱丈さんについて
ミケランジェロをもじったペンネームの三宅乱丈さん。 女性漫画家です。 かなり重厚なSFなので勝手に男性だと思っていた。 青年誌だし。 実は光圀伝も連載中。
光圀伝は原作を読んでおります。 兄弟愛とか仁義とか好きな人にはおすすめ。三宅乱丈さんのTwitterはこちら。 最近の漫画家さんは大体Twitterやってるなあ。
『イムリ』のあらすじと設定
イムリのあらすじと設定を簡単に。 SFなのである意味設定命です。
あらすじ
文字読むのがめんどくさい人はここから立ち読みしてもらうのが早いかもしれない。※ スマホから見れない可能性あります。
試し読みできない人はwikipediaからの引用を紹介します。
支配民族「カーマ」は戦争によって惑星ルーンを凍結させ、隣星のマージへと移住した。それから4000年後、過去の戦争の記憶は風化し、カーマは他者の精神を侵犯する能力を用いて、奴隷民「イコル」を最下層とする階層社会を形成していた。ルーンの氷が溶け始め、カーマ達はかつてかつて古代戦争を争い、4000年の氷河期を経てその記憶を忘れ去った原住民「イムリ」の住む母星、ルーンへの移住を始めていた。
これ読んでも意味分かんないよね…… 実は結構昔イムリを読もうとしたことあるんですよ、私。 ブックオフなんだけど…… これね立ち読みだと全然頭に入ってこない。 最低でもまんが喫茶でどっしり構えて読んで欲しいです。
主な設定
いくつかの設定をネタバレを極力抑えて紹介します。
『イムリ』は「カーマ」「イムリ」「イコル」3つの民族の争いの話でもあります。
- カーマ……この物語の支配民族。4000年前の古代戦争で惑星ルーンを凍結し、隣の星マージへ移住した。高度な文明を持つ。“侵犯術”という人身支配術による身分制度で恐怖政治をしている。
- イコル……カーマにおける階層社会の最下層を構成する奴隷民族。かつてはルーンを支配していたとデュルクの目にした古代文献にはあるが現状は“侵犯術”により奴隷化されている。
- イムリ……ルーンの原住民。古代にはカーマと激しく争った。ルーンが凍結した後も、氷河期を細々と生き延びて現在に至る。必ず双子で生まれ、その双子に起きた出来事を夢で見るなどのさまざまな特徴があるが、近年はカーマにより古いしきたりや彼ら独自の術が禁じられることで、その特徴は失われつつある。
それぞれが特徴を持っています。物語は基本的には「カーマ」と「イムリ」を中心に進むんですがイコルが何かしそう……と疑いながら読んでます。
この辺からちょっと漫画読まないといみわからない設定なんですが、物語には「彩輪」と呼ばれる生物が持っている強化可能なエネルギー(作中では光彩とよぶ)が出てきます。この彩輪は鍛えてカーマの奴隷制度に使われています。侵犯術は他社の彩輪を使って精神を操る技術です。自分で書いてて意味不明すぎて笑えてきました。
- 誘導……他者の彩輪を摘出し、行動を操る。促迫とは異なり、術をかけられた者の意識は残っている。
- 促迫……他者の彩輪と適合し、精神を操る。術をかけられた本人には操られたという自覚は無く、かけられた間の記憶も無い。3回連続でかける命令になる。
- 命令……他者の彩輪と共鳴し、即時奴隷化する。
この「誘導」「促迫」「命令」ができる権限が身分制度で固められています。 「命令」されて奴隷化されたら終わりという恐怖政治がカーマの政治の根幹なんです。
「イムリ」は必ず双子で生まれます。また双子同士はお互いのことを夢で知らせ合うという特性があります。これがすごく物語で聞いてきます。
『イムリ』は民族間の争いで戦争状態になるんですが、双子の片方が相手に囚われたら情報が筒抜けなんですね。 しかも「カーマ」は侵犯術が使えるので話したくないことも「促迫」することで喋らせることができるんです。 情報戦が一気に有利になるんです。
また、「イムリ」はお互いのことを夢に見るので情報が一気に拡散します。 不確定な情報とかどんどんイムリの中で拡散するということが物語の中で度々起こります。 まるでインターネットの世界。
この双子の設定がほんと面白いです。
他にもたくさんの設定や伏線が盛り込まれているのですが、あまり書くとネタバレにつながるので押さえときます。 ただ謎解きの要素とかあるのでミステリー好きにもおすすめです。
『イムリ』を読んだ感想
読んで思ったのは『新世界より』と雰囲気が似ているなあって思いました。なんというか歪んだ社会構造がそう思わせたんですよねえ。 社会の中に非常に大きな闇があってそれを隠蔽しようとしている感じとか変な既視感ありました。
また1巻は設定の紹介に近く非常に読むのが大変です。 ただ2巻からどんどん物語が動いて5巻ぐらいでは続きが気になってしょうがない感じになります。 なので最初とっつきにくくても、登場人物がみんなおんなじ顔に見えても我慢して読むのをおすすめします。
きっと止まらなくなるはず…
まとめ
この『イムリ』の素晴らしいのはちゃんと完結させたということ。これだけ大きな世界、複雑な設定、ちりばめられた伏線をきちんと畳んだ。
未完で終わるSF漫画が多い中で最後までちゃんと読める珍しい作品です。